宙の会の活動概要です。
『宙の会』は、平成21年2月28日設立(16事件遺族⇒現在20事件)
「遺族の思いは年月を経ても決して薄れることはない。時効制度を廃止し、人を殺害したら厳刑に至る条理を確立していただきたい。」
犯罪に対する「償い」を求める制度は、民事法においても賠償すべき制度が確立してこそ、法理念の両輪が保たれ究極的に秩序の安定が図られると考える。
しかし、民事上における現況は、殺人事件に対する「償い」の実効性が極めて困難な状況にある。「償い」とは、民事上の被害回復を含め、あくまでも加害者自身が負うべき当然の義務かつ常識的責任と考える。
例示として、『宙の会』会員に、加害者が特定されていながら公訴時効に至り、加害者特定の一心から、民事訴訟を起こし、約7,500万円の賠償判決を得た事件がある(判決後10年の民法上の消滅時効を迎え、H29年2月再提訴し、同年3月23日同様判決)。また、重要指名手配中の加害者(3名殺害)に対して、民事の提訴期限(20年)直前に訴訟を提起して、1億370万円の賠償判決を得た(H31.1.10)。いずれも今後加害者が現れ又は逮捕されても、支払い能力の限界そして不払いに対する履行を求めての次の訴訟手続等の問題がある。さらに、新たな報復への懸念さえ生じる。このように、判決の実効性は、限りなく乏しい現況となっている。
以上のような状況を勘案し、かけがえのない生命を奪ったら、刑事の“償い”と共に、民事においても被害者及び同時に殺されたような状態に至った遺族に対して、加害者の“償う”という制度の実現を希望する。そのことによって、殺人事件の減少を強く願うものである。
『宙の会』は、遺族の権利の主張以前に、私たちの悲しみ・苦しみを他の人々に味わって欲しくないと言う願いをもっている。そのために、究極の目標とする「生命の尊厳を基盤とする安全・安心社会」を目指して、次の活動を推進していく。
国民の生命、身体、財産を守ることは国家責任の一つである。殺人事件に対する民事損害賠償裁判では、加害者に対し賠償判決が示されても、事実上賠償を得ることは極めて困難な状況となっている。そのため、国が代執行により賠償の実効性を図り、その後、国が加害者に求償するという制度の確立を目指す。
事件日等あらゆる機会を捉えて、警察及び報道関係機関等と連携を密にして、関連情報の提供を呼びかける。
警察及び関係機関等が推進する「命を大切にする講座」等に協力し、講演等を通じて、遺族の思いを伝え、生命の大切さを訴え、安全・安心社会への一助を果たしていく。
また、宙の会活動について、積極的に広報活動を展開し、究極目標の殺人事件減少に向け努力する。
『宙の会』の活動方針に基づき、他の殺人事件被害者遺族と連携を図り、共に励まし合いながら、事件解決に向け努力すると共に被害者遺族の平穏な生活基盤の回復に向け協働していく。
民事損害賠償判決に対する「代執行制度」の確立について、平成21年11月25日法務省法制審議会刑事法部会に対し、「意見書」を提出。
平成22年4月23日「第174国会法務委員会」において、小林代表幹事(当時)が意見陳述。結果、同年4月27日、公訴時効制度法案成立日の法務委員会において、意見陳述を取り上げた質疑が行われた。
~国民の生命、身体、財産を守ることは国家の責任です。そのために国民は納税義務を果たしております。そして、結果において殺人が発生した場合、究極において国家及び自治体の治安責任の一端は生じると考えます。他方、民事損害賠償裁判では、加害者に対し賠償判決が示されても、自動車保険制度のような制度がない現況では、事実上、実効性を伴わない判決となっております。そこで、賠償額の代執行を国に求め、その後、国が加害者に求償していく制度(あくまでも加害者に民事責任を求める)を確立していただきたいと願います。
~先日の委員会で、民事法的には賠償責任が被害者から、または代わって国から求められる制度をぜひ確立していただきたいと言っておりました。
~必死の思いで刑事裁判に対応し、自分で民事裁判に訴え、そして何とか損害賠償を勝ち取っても、絵に描いたもちということではこれはあんまり・・・
~民事上の損害賠償請求というのは当事者が行う制度になっておりますので、直ちにこれを使うということはなかなかできませんけれども・・・ご指摘がありました損害賠償を国が代わって行うような、こういう課題を含めまして、今後、関係省庁と協議、検討をして参りたいと考えております。
~民事賠償の代行を国が行い、国が犯人に求償する、こういう制度も限定的に創設すべきでは‥
~国が賠償した上で求償するという制度、一つの考え方ではないだろうかというふうに私も思います。…ただ、これについては、結局は国民の税金をみんなでそれに使っていこうということになるわけですので、いろいろな議論が必要になってくるかというふうに思っております。
~犯罪被害者の皆さんの経済的、精神的な支援をどうしていくかということはこれからも考えていかなければなりません。基本計画の改定等もございますので、そういう中の議論も含めて、そして国が賠償して求償するというのは本当に一つの大きな考え方だというふうに思いますので、ぜひ今後の検討の重要な材料にさせていただきたいと思います。